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抗真菌薬の投与およびシャンプー療法に頼らない犬のマラセチア性皮膚炎の管理

投稿者:武井 昭紘

犬のマラセチア性皮膚炎はMalassezia pachydermatisを病原体として発症する皮膚疾患で、抗真菌薬やシャンプー療法で治療されることが一般的である。しかし、抗真菌薬の投与には副作用が、そして、シャンプー療法には時に費用対効果に伴わないヒトや犬のストレスが付き纏うことがデメリットになり、治療が上手く進まないことが少なくない。つまり、これらの治療法以外にも選択肢を増やしておくことが、当該疾患の診療をよりスムーズにすることに寄与すると考えられるのだ。

冒頭のような背景の中、オランダの獣医科大学は、肢間に対称性のマラセチア性皮膚炎を起こした犬16匹を対象にして、①局所スプレーと②シャンプー療法の効果を比較する研究を行った。なお、同研究では、安息香酸ナトリウム、アルコール、植物油で構成された①と、2%グルコン酸クロルヘキシジンおよび2%硝酸ミコナゾールで構成された②が採用されており、それらを同一症例の左右の肢間にそれぞれ14日間適応している。すると、治療開始前および治療14日目の細胞診において、①と②の間に有意差は確認できなかったとのことである。

上記のことから、①と②の効果は同等だと考えられる。つまり、抗真菌薬では副作用が発現し、且つ、シャンプー療法が難しい症例には①を処方することが望ましいと思われる。よって、今後、①を製品化する研究が進み、犬のマラセチア性皮膚炎の治療が進化を遂げることを期待している。

局所スプレーは1日1回、シャンプー療法は1日おきに実施されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35811489/


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