ヒトが摂取する自然食品(食べられる前の加工や精製を行わない、あるいは、可能な限り抑えた食品)は、炎症や様々な病気のリスクを軽減し、健康な体重および免疫機能の維持に寄与すると言われている。しかし、犬において「この効果」を検証した報告は無く、不明な点が多いのが現状である。
そこで、ミッドウェスタン大学らは、臨床上健康な犬16匹を対象にして、自然食品で構成されたフードの効果を調べる研究を行った。なお、同研究では67日間に渡って、①自然食品で構成されたフードまたは②通常のドライフードが犬に給与され、彼らの血液検査のデータが集積されている。すると、CRP、SAA、ハプトグロビン、単球の機能においては両群に有意差は認められなかったものの、グラム陽性細菌の細胞壁の主要な成分であるリポテイコ酸にin vitroで曝露された白血球が産生するサイトカインに差が確認され、②に比べて①ではTNF-αとIL-10の比が有意に低く、IL-8が高かったという。
上記のことから、自然食品を犬に給餌すると、免疫機能が調整される効果が生じると考えられる。よって、今後、犬で報告されている多種多様な病気一つひとつに対する自然食品の効果が検証され、炎症や病気のリスクを軽減する食材の組み合わせが発見・考案されることに期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.898056/full