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メラトニンの錠剤を過剰に摂取した犬が陥った中毒

投稿者:武井 昭紘

ミニチュア・オーストラリアン・シェパードの血が流れる4歳の不妊メスを飼育するオーナーからPet Poison Helplineへ相談が寄せられた。何でも、1時間前に愛犬がストロベリー風味のメラトニンの錠剤を誤食して、元気は消失し、且つ、嘔吐しているということだ。吐物は錠剤の色と一致をしていた。状況からすれば、メラトニンの過剰摂取による症状と考えられる。つまり、元気の消失も嘔吐も一過性だと思わたのである。しかし、事態はそう簡単な話にはならなかった。彼女の身に起きようとしていることは一体、何であろうか。

メラトニン錠の製品ラベルを良くみると、成分欄の最初の方に「キシリトール」とあった。飲み込んだ錠剤の量から計算するに、5.2~5.5g/kgのキシリトールを摂取したことになる。肝臓は壊死する可能性を考えねばならない用量だった。無論、低血糖のリスクも孕んでいる。彼女は救急病院に入院をした。ALTは測定限界を超え、APTTは延長し、低Na、低K、低P血症を認めた。血糖値モニタリングおよび輸血療法を含む24時間体制の治療で、彼女は無事に退院をした。

人間が服用する医薬品を犬が誤食する例は後を絶たない。一歩踏み外せば命を落とす事例・事故が頻繁に起きているのだ。よって、皆様は充分に注意を払って欲しい。医薬品を犬の口が届く所に置いてはいけないことを忘れないで欲しい。そして、いざという時は躊躇せず動物病院に相談して欲しい。愛犬の命を一つ。それを守るために。

彼女は6ヶ月後、再び入院をしました。理由は、異物が腸を穿孔したためです。誤食をする犬は異物にも気を付けましょう。

 

参考ページ:

https://www.cliniciansbrief.com/article/xylitol-toxicosis-miniature-australian-shepherd-crossbreed


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