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免疫抑制療法を受けていたフレンチ・ブルドッグを襲った敗血症性心膜炎

投稿者:武井 昭紘

呼吸が速く食欲不振も呈したフレンチ・ブルドッグ(5歳齢、不妊メス)がフロリダ大学の付属動物病院を訪れた。彼女には、慢性下痢と嘔吐の治療のためにプレドニゾロンを免疫抑制量で服用している病歴があった。身体検査にて喘鳴および気管支肺胞音の増強。また、超音波検査では心嚢水貯留、胸部X線検査では胸水、前縦隔の拡大、肺の間質に病変、CT検査では縦隔リンパ節の腫脹。そして、血液検査では好中球増加症(左方移動)、低ALB血症、ALPの上昇、低K血症が認められた。一体、本症例に何が起きたのだろうか。

診断のヒントを得るべく、胸腔穿刺と心嚢穿刺が行われた。その2日後、心膜切開術も実施。培養の結果は、Achromobacter xylosoxidans ss deitrificansという細菌の存在を明らかにした。アモキシシリンクラブラン酸とエンロフロキサシンの12週間に渡る投与を開始。症例は完全に回復した。

 

同大学は、『この細菌が犬の化膿性心膜炎および膿胸の原因として報告されたことはない』と述べる。加えて、発症の引き金になったのはプレドニゾロンの投与だと訴える。免疫機能が抑制されたことに続発した疑いとのことだ。果して、類似した症例は他にも居るのだろうか。今後、その有病率を算出研究が進むことを願っている。また、消化器疾患に対する免疫抑制療法を実施するにあたり、細菌感染症の有無を定期的にチェックすることをお薦めする。

WBCは32650個/μL、好中球は27000/μLであったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.884654/full


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