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皺壁性皮膚炎を発症しやすい犬の特徴を明らかにした研究

投稿者:武井 昭紘

皮膚病が起き悪化する要因の一つに、シワが挙げられる。シワが擦れ合い、シワの間に湿気が貯まり、皮膚病を誘発するとされているのだ。そして、この「シワ」から発想する犬種と言えば、短頭種である。では果たして、彼らは、シワが原因となった皮膚病(いわゆる皺壁性皮膚炎)を発症しやすいのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、90万匹を超える犬の診療記録を解析し、皺壁性皮膚炎を発症しやすい犬の特徴を明らかにする研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆皺壁性皮膚炎を発症しやすい犬の特徴◆
・有病率は0.37%(300匹に1匹)であった
・交雑種と比べて純血種は約2.5倍、皺壁性皮膚炎になりやすい
・中頭種と比べて短頭種は約4.5倍、皺壁性皮膚炎になりやすい
・ペット保険未加入の犬と比べて加入済の犬は約2倍、皺壁性皮膚炎と診断されやすい
・最もリスクが高い犬種はイングリッシュブルドッグであった(50倍弱)
・次いでフレンチブルドッグ(25倍強)、パグ(15倍強)、バセットハウンド(10倍強)が続いた
・対してラブラドールレトリバー、ジャックラッセルテリア、ボーダーコリー、ヨーキーはリスクが低かった
・またキャバション(キャバリアとビションフリーゼのMix)、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアン、ロットワイラー、トイプードルでは皺壁性皮膚炎の記録が無かった

 

上記のことから、短頭種は皺壁性皮膚炎を発症しやすいことが分かる。無論、シワがあることが「短頭種らしさ」を演出しているとは思うのだが、そのシワが皺壁性皮膚炎の原因となっていることが示唆された結果だ。よって、今後、動物福祉の観点から「短頭種らしさ」を追求する繁殖計画を見なすべく、シワが少ない短頭種を生み出すブリーディング方法が考案されることに期待している。

本研究では、約42%の症例に抗生剤が処方されていたという結果も出たとのことです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/Media/Default/VetCompass/Infograms/220705%20Skin%20fold%20dermatitis%20infographic%20final.pdf


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