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発情を示唆する兆候を呈した不妊メスのワイマラナー

投稿者:武井 昭紘

食欲不振と悪露を主訴に、不妊手術が済んでいるワイマラナーが、南米ベネズエラの北方、カリブ海に浮かぶ国家グレナダのセント・ジョージズ大学を訪れた。臨床検査所見から子宮断端部の蓄膿症が疑われた。そこで、卵巣組織の探索と子宮断端の切除を目的にして、手術が適応された。卵巣組織は無かったものの、組織病理学的検査にて子宮内膜増殖症が明らかとなった。良好な経過を辿る予想も虚しく、手術から15日後、臨床症状が再発した。彼女の身に一体何が起こっていたのだろうか。

 

外陰部の出血も、膣細胞診も、発情の兆候を示唆していた。しかし、ホルモン検査では、異所性の卵巣組織の存在は否定的であった。基本に立ち返る。内部に問題が無ければ、外部から刺激が問題なのだと。問診を慎重に行う。オーナーがエストロゲンが配合されている局所クリームを使っていた。そして、オーナーとワイマラナーは密接にコミュニケーションを取っていた。そのクリームが犬に接触しないように対策を講じると、症状は解消した。

同大学は、外因性のエストロゲンへの曝露が一連の症状の原因と結論付けた。加えて、悪露やエストロゲンの影響が疑われる疾患の鑑別リストに、外因性エストロゲンを追加するべきだと訴える。よって、心当たりのある症例を担当している獣医師は、問診にてエストロゲンが配合されている局所クリームの使用経験をオーナーに訊ねることが望ましいと思われる。

病理組織検査および膣細胞診の画像データは、リンク先の論文をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35622883/


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