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慢性腎臓病を抱える猫の排便習慣に着目した研究

投稿者:武井 昭紘

慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)の猫を悩ませる病態の一つに、便秘が挙げられる。しかし、この便秘が罹患猫の何%に認められているのかについての情報は知られていない。果たして、どれほどの有病率となるのか。それを明らかにすることは、猫のCKDをより深く理解するキッカケになるものと思われる。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らは、①臨床上健康な猫と②CKDの猫の排便習慣を調べる研究を行った。なお、同研究では、猫を飼育しているオーナーを対象にして、彼らの健康状態と排便習慣(排便回数、糞便スコアを含む)に関するオンラインアンケートを依頼する形式が採用されている。また、アンケート実施期間(7日間)は、トイレを毎日清掃するようにお願いしたという。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことだ。

◆慢性腎臓病を抱える猫の排便習慣◆
・2日間以上に渡って排便習慣をチェックできた例数は160件を超えた
・①の85%、②の58%が1日1回以上の排便をしていた
・①の15%、②の42%が1日1回未満の排便をしていた
・①に比べて②の排便回数は有意に少なかった
・両者の糞便スコアに有意差は認められなかった

 

上記のことから、CKDの猫の排便回数が減少することが窺える。では実際、この現象とCKDの病態進行は関連しているのだろうか。そして、「回数が減る」ことは罹患猫のQOLを低下させる要因となっているのか。今後、更なる調査が進められていくことに期待している。

CKDの治療によって②の排便習慣は①のものに近づくのかについても検証されると、猫のCKDと便秘の関係性がより鮮明になるかも知れません。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/1098612X211012684


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