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メインクーンの肥大型心筋症に対する遺伝子検査の効率化を目指した研究

投稿者:武井 昭紘

ミオシン結合タンパク質C3をコードする遺伝子に起きる変異(MYBPC3-A31P)は、アメリカはメイン州原産である大型の猫種メインクーンの肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy、HCM)の発症に関与しているとされている。そのため、この変異を検出する診断法が確立されているのだが、時間と費用が掛かることがネックとなっているのが現状である。つまり、HCMの診断を効率化する手法が求められているのだ。

そこで、タイの大学らは、時間を節約し、且つ、費用を抑えて遺伝子検査を実施するべく、等温で拡散を増幅できるloop-mediated isothermal amplification assay (LAMP)および大掛かりな設備を必要としないイムノクロマトグラフィー(lateral flow dipstick、LFD)を組み合わせて、メインクーンの遺伝子を調べる研究を行った。すると、60分で拡散を増幅でき、アガロースゲルによる電気泳動がより少ない遺伝子の量で、該当する変異を持たない猫と持っている猫を判別できることが判明したという。

上記のことから、同検査法は、HCMの猫が持っているかも知れない変異を検出する有用な手法であることが分かる。よって、今後、この検査法の精度を算出する研究が進み、感度・特異度を向上させる方法を考案しつつ、臨床応用されていくことに期待している。

研究に参加した猫は、変異を持たない個体が4匹、変異を持っている個体が3匹だとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.819694/full


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