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犬の眼内に発生する腫瘍に関する疫学

投稿者:武井 昭紘

体のある特定の部位に発生する腫瘍は、どのような特徴を有しているのか。原発が多いのか、あるいは、多中心性や転移性でも生じるものなのか。腫瘍細胞の種類としては何が多いのか。最新の状況を把握して疫学をアップデートしていくことは、犬の腫瘍に関する診療の発展にとって重要なことである。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、1999年以降に4つの高次診療施設を訪れた犬であり、且つ、眼科手術あるいは眼の剖検で得られた組織サンプルで病理検査を実施した症例170件以上のデータを解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬の眼内に発生する腫瘍に関する疫学◆
・全体の約74%は原発性であった
・メラノサイトを由来とする腫瘍が最も一般的であった(原発性の約70%)
・全体の約16%は独立円形細胞による腫瘍であった(リンパ腫が過半数を占める)
・全体の約10%は転移性であった(血管肉腫が過半数を占める)

 

上記のことから、犬の眼内に発生する腫瘍は原発性が多いことが窺える。しかし一方で、リンパ腫や転移によっても腫瘍が眼内に出現することが分かる。よって、体の何処かに腫瘍が存在している犬を診察する場合は、眼内腫瘍の可能性を考慮して、眼科検査を検討することが望ましいと思われる。

原発性の約25%は虹彩に発生するとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35395124/


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