環境エンリッチメント。
それは、不適切な飼育環境に置かれた動物はストレスを抱え込んで問題行動を起こすという点を重視し、動物を飼育するにあたって、彼らのストレスを軽減し、幸せな日常生活を担保する動物福祉の観点である。では、実際のところ、求められている環境エンリッチメントとは一体、何であろうか。動物種や品種ひとつ一つに注目をし、「求められているもの」を明らかにすることが重要だと思われる。
冒頭のような背景の中、イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、同国に100万匹以上、アメリカに50万匹以上が飼育されていると推定できるフェレットに着目して、環境エンリッチメントを考えるオンラインアンケート調査を行った。なお、同調査では、フェレットをペットとして飼っているオーナーは勿論のこと、研究室、動物園、保護施設などでフェレットを管理するヒトも対象にしている。すると、以下に示す事項が判明したという。
◆フェレットのための環境エンリッチメントに関する調査◆
・17ヶ国750件以上の回答を得た
・その約82%はフェレットをペットとして飼っているオーナーからであった
・ほとんどのフェレットが多頭飼育されていた
・ハンモック、柔らかいベッド、トンネル、箱などが飼育環境に置かれていることが多かった
・フェレットが最も楽しんでいると思しき環境エンリッチメントはトンネルであった(約43%)
・次いで、穴を掘ること(約27%)、人間とのコミュニケーション(約21%)、物を探すイベント(約18%)であった
・最も危険だと感じた飼育環境は、飲み込んだり噛めるゴム製品であった(約45%)
・次いで、閉じ込められる可能性のある狭いトンネルや爪が引っかかる生地であった(約29%)
・休息場所を除いて新しい環境エンリッチメントを提供することが大切と答えるヒトも居た
上記のことから、トンネルが最も重要な環境エンリッチメントであることが窺える。また、好奇心が旺盛な子が多いとされるフェレットには、新しいオモチャや遊び場も用意することが望ましいのかも知れない。本調査の結果が、フェレットを飼育・管理する、多くのヒトに届き、彼らの福祉が向上することを願っている。

回答者の15%は、「香り」も環境エンリッチメントだと答えたとのことです。
参考ページ: