ニュース

犬の膣スメア検査を用いた細胞診の再現性を高めるための研究

投稿者:武井 昭紘

膣スメア検査。それは、「簡単な」サンプル採取でメス犬の性周期を知るための手技である。しかし、その評価に着目すると、獣医師によって意見が分かれてしまうことが珍しくない。では、評価の一致性を高めるには、どうすれば良いのだろうか。

冒頭のような背景の中、ベルリン自由大学は8ヶ国16名の獣医師に協力を仰ぎ、膣スメア検査に関する意見をオンラインで聴き取るとともに、彼らの報告する同検査の結果を比較する研究を行った。加えて、検査に登場する細胞をチャート式で分類するツール(チュートリアル)を開発し、その有用性を検証した。すると、約69%の獣医師が「膣スメア検査の信頼性は低い」と回答し、実際、彼らの報告する結果の一致性も乏しいことが判明したという。一方、チュートリアルを使用した5名の獣医師の結果(細胞の分類)は、高い一致性を示したとのことである。

上記のことから、本研究で使用されたチュートリアルは膣スメア検査の精度を向上させる効果を有していることが窺える。よって、今後、対象の国および獣医師を拡大した同様の研究によってチュートリアルの有用性が評価され、世界に「信頼性が高い」膣スメア検査が普及することを期待している。

約69%の獣医師が「膣スメア検査の信頼性は低い」と回答している反面、80%以上の獣医師は膣スメア検査を日常診療で利用していたとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.834031/full


コメントする