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特発性てんかんを抱える犬の腸内細菌叢を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

アメリカはノースカロライナ州立大学が展開したトライアルによると、「てんかん」を抱える犬とその同居犬の腸内細菌叢を比較したところ、両者には差異が認められなかったという。これは、様々疾患と腸内細菌叢との関連性に注目が集まっている現代において、残念ながらネガティブな結果だ。しかし、スペインのサラゴサ大学らは、ノースカロライナ州立大学に反論するかのような研究結果を発表した。なお、詳細は以下の通りである。

 

◆特発性てんかんを抱える犬の腸内細菌叢◆
・①特発性てんかんの犬と②健康な犬の腸内細菌叢を比べた
・②に比べて①では、抑制性神経伝達物質であるGABAを産生する細菌が減少していた
・②に比べて①では、神経の成長と分化に関与し脳を保護するSCFAを産生する細菌が減少していた
・②に比べて①では、脳疾患の発症リスクを低下させる細菌が減少していた
・①の腸内細菌叢は、フェノバルビタールまたはイメピトインによる30日間の治療で変化しなかった

 

上記のことから、①と②の腸内細菌叢は異なっていること、抗てんかん薬ではこの細菌叢を変えることができないことが分かる。よって、今後、①の腸内細菌叢を②のそれに近付けるプロバイオティクスなどの治療法が考案され、その有用性が検証されていくことに期待している。そして、抗てんかん薬では発作が治まらない症例に「新たな希望」を与えられる未来が訪れることを願っている。

GABA産生菌、SCFA産生菌、脳疾患の発症リスクを低下させる細菌の種類につきましては、リンク先をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34827852/


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