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犬の前立腺癌および移行上皮癌由来の培養細胞に対するメトホルミンの効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

最少限の投与量で、且つ、耐性メカニズムを回避しつつ、腫瘍組織の増殖を効率的に抑える。これは、腫瘍性疾患の治療における理想である。そして、この理想に該当する薬剤を開発・発見することは、医学および獣医学の永遠の課題だと言える。加えて、その発見が既存の薬剤からなされるのであれば、一から開発するよりも近い未来で課題をクリアすることが叶うのだ。

冒頭のような背景の中、ドイツの大学らは、2型糖尿病の治療薬で、糖尿病患者が悪性腫瘍を発症するリスクを低下させるとされるメトホルミンに着目して、同薬剤の犬の前立腺癌および移行上皮癌に対する効果を検証する研究を行った。なお、同研究はin vitroで実施されており、両癌由来の培養細胞にメトホルミンを曝露させる形式である。すると、メトホルミンは、線維芽細胞に影響を与えることなく、癌細胞の代謝と増殖を阻害することが判明したという。

上記のことから、メトホルミンは、犬の泌尿器系腫瘍に対して抗腫瘍効果を発揮することが窺える。よって、今後、この効果を最大限に得て、且つ、副作用を限りなく小さくする用量・用法を決定する研究が進められ、1日でも早く同薬剤が抗癌剤として再評価され、多くの犬の命を救うべく製品化されることに期待している。

泌尿器以外の腫瘍に対するメトホルミンの効果も検証されていくことも期待しております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34570803/


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