近年、アメリカでは、ペットショップで販売されている子犬を介して発生するヒトのカンピロバクター感染症が問題となっている。そして、世界各国は今、様々な細菌感染症にて出現する耐性菌に頭を悩ませている。そこで、疑問が浮かぶ。このカンピロバクター感染症にも耐性菌が関わっているのだろうか。
そこで、CDCおよび自治体らは、2011年~2020年の約10年間において、ペットショップの子犬から検出されるカンピロバクターと疫学的または分子学的に関連した病原体によると思われるヒトのカンピロバクター感染症事例160件以上の調査を行った。すると、以下に示す事項が判明したという。
◆子犬に関連したヒトのカンピロバクター感染症◆
・事例全体の80%以上は2016年以降に起きている
・情報が得られた事例(約120件)のうち97%で発症の前週に犬との接触があった
・情報が得られた事例(約80件)のうち88%でペットショップの子犬との接触があった
・分離されたカンピロバクターの約90%に薬剤耐性が認められた
・特定のブリーダーやペットショップと薬剤耐性の有無に関連はなかった
・使用が推奨されている抗生剤(7つのクラス)全てに耐性菌が確認された
上記のことから、アメリカで子犬を販売するペットショップでカンピロバクターが蔓延していることが窺える。よって、同国の動物販売業者は「カンピロバクター感染症が起きやすい状況」を認識し、顧客と子犬の接触に際する感染対策を講じる必要があるものと思われる。ケージの熱湯消毒を徹底し、手洗いを奨励。加えて、幼児や高齢者、そして体調が悪いヒト(免疫抑制が起きる治療を受けているヒトも含む)と子犬の接触を避ける。各業者に「耐性菌との闘いに終止符を打つ対策」を期待したい。
参考ページ:
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2784113