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保湿剤が持つ皮膚バリア機能の改善効果を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトのアトピー性皮膚炎では、皮膚の乾燥を防ぐ保湿剤を使用することが基本的な治療法として認識されている。これは、獣医療でも同様で、アトピー性皮膚炎(canine atopic dermatitis、cAD)を抱える犬に保湿剤を使用することが推奨されているのだ。では、その保湿剤に、どれ程の効果があるというのか。それを客観的なデータに置き換えることは、大変に重要なことである。

そのような背景の中、リヨン大学らは、皮膚バリアが破綻したモデルとして、左右の胸部にテープを貼って剥がした犬を用意し、患部に保湿剤(1日2回、1週間)を塗って経過を観察する研究を行った。なお、保湿剤を塗ったのは片側の胸部のみで、もう一方には塗っていないとのことてある。すると、保湿剤を塗っていない部位に比べて塗った皮膚は、組織学的に角質層が厚くなり、炎症が抑えられていることが明らかになったという。加えて、その皮膚から失われる水分量が減少することも分かった。

上記のことから、保湿剤には、皮膚バリアの機能を改善する効果があると考えられる。よって、今後、cADの犬に保湿剤を適用する研究が更に進められ、臨床症状を軽減する最適な使用方法について議論が尽くされることに期待している。

本研究には、臨床上健康な犬が6匹参加しているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32628309/


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