二次性発癌とは、国立がん研究センターのがん情報サービスに記載された用語集によると、抗がん剤や放射線による正常細胞の障害をキッカケとして、治療を終えた数年から数十年後に、もとの病気とは別の種類の癌を生じることとされている。つまり、この言葉は、悪性腫瘍(がん)の治療を進めた結果、新たに癌を患ってしまうという非常にもどかしいジレンマを表しているのだ。そして、誠に残念ながら、前述のような二次性発癌に罹患した猫のケースリポートが報告されてしまった。
なお、報告を上げたアメリカの獣医科大学らによると、リンパ腫が鼻に発生した猫を化学療法および放射線療法にて治療したところ、その2年6ヶ月後に、鼻から右眼角にかけて顔面が腫脹した状態で本症例が再来院したとのことで、リンパ腫の再発として加療したのだが、良い反応は認められなかったというのだ。その後、病状の進行を理由に安楽死され、剖検によって、再発したリンパ腫と思しき病変の正体が「鼻腺癌」であったことが判明した。
上記のことから、同大学らは、今回経験した症例は二次性発癌を患ったと結論付けた。これは、非常に稀なケースだという。よって、もし仮に、化学療法および放射線療法を過去に受けた猫が、数年後、腫瘍が再発したかも知れないと動物病院を訪れた際には、頭の片隅に、『再発ではなく、二次性発癌なのでは?』と発想を飛ばして頂けると幸いである。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/32166040