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動物虐待を疑う事例の報告を受けて専門的に解析する部署からのメッセージ

投稿者:武井 昭紘

近年、日本において、動物虐待、ネグレクト(飼育放棄)、多頭飼育崩壊に関する報道が目立つようになってきているとともに、実際に、ラブラドール・レトリバーを蹴り上げたり、トイ・プードルをリード越しに振り回して壁に叩きつける動画などがSNS上に拡散して、いわゆる「炎上」を起こすことからも明白な通り、一世帯で飼育されているペットと、その世帯を構成する家族との間に、全くの無関係な第三者が「飼育方法」を掲題として介入する必要性を強く感じる事象が多発している。しかし、今の法律では、『これは、躾です』、『うちは、こうゆう飼育方針です』と主張をされてしまうと、他者が割って入り、ペットの命を半ば強制的に助けることが非常に難しく、現代社会の闇に押し潰されそうな動物福祉に、絶対的に不足しているものの存在があるのではないかと無念さを抱かざるを得ない。

そこで、ボストンに位置するForensic Veterinary Investigations社の「ある取り組み」を、現状打破の原動力の一端として、紹介したい。

同社は、その名が示すように、獣医法医学に基づく調査会社で、動物虐待(Animal Maltreatment)への抑止力となるべく活動を続けており、現在、虐待を疑い、そして、発見するポイントをウェブページ上に公開している。また、それに該当する案件に遭遇した人達には、自社への通報をお願いしており、日本の児童虐待に対する通報制度にも似ている印象を受ける。

上記のことから、虐待に気が付くためのチェック事項を積極的に啓蒙し、通報先を地域ごとに(理想は国ごとに)統一する組織の設立が、動物虐待からペットを守るための大きな鍵となるのではないだろうか。よって、その第一段階として、是非とも、獣医師・動物看護師は、リンク先の「動物虐待を察知する」チェック事項を一つ一つ確認して、ペットオーナーへと具に伝えて頂けると幸いである。

動物虐待が発生している地域の近隣住民は、犯人がヒトの殺傷にも手を染めるのではと不安の日々を送ることになりますので、ペットのためにも、ヒトのためにも虐待防止制度の確立・導入が進むことを願っております。

 

参考ページ:

http://www.vetinvestigator.com/news-bedford/suspect-it-detect-it


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