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アラスカン・ハスキーに起きる喉頭麻痺の発症要因を探求した研究

投稿者:武井 昭紘

アラスカン・ハスキーは、アメリカの北西端に位置するアラスカで犬ゾリレースのために飼育されている比較的新しい犬種で、体力とスピードを兼ね備えた大型犬(25kg前後)である。しかし、アラスカン・ハスキーの一部は、喉頭麻痺が発生することが知られており、レースドッグとしては致命的とも言える呼吸困難や運動不耐性を呈してしまう。つまり、動物福祉(レースへの参加が苦痛になりかねない)および獣医療の観点から、当該犬種の喉頭麻痺の発症要因を探ることは非常に重要で、治療法の開発または予防対策の考案をする上においても大変有意義であると思われる。

そこで、アメリカの大学らは、アラスカン・ハスキーの喉頭麻痺について、シグナルメントのリストアップ、臨床検査、病理検査を用いて解析を行った。すると、症例の喉頭部の筋(輪状披裂筋)が神経原性萎縮を起こしていることが明らかとなった。加えて、同大学らによると、罹患犬の顔に特徴を発見し、虹彩が青く、頭部に白色のマーキングを持つ個体が喉頭麻痺を起こすことを突き止めたとのことである。

上記のことから、アラスカン・ハスキーの喉頭麻痺は遺伝病に分類されることが有力となったのではないだろうか。よって、罹患犬をブリーディングに参加させないことともに、喉頭筋の萎縮を喰い止める治療法の確立を目指す研究を進めることが、今後の課題であると考えられる。

元気な姿で楽しく、レースに参加したり、愛玩犬として愛されるアラスカン・ハスキーが増えることを願っております。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/abs/10.2460/javma.253.8.1057


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