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投薬が難しい猫に対する薬物療法を効果的にする未認可の経皮投与

投稿者:武井 昭紘

何らかの病気を患った猫に対する治療が上手くいかない原因の一つに、投薬指示の不徹底が挙げられる。そして、そこに至ってしまう要因として、無論オーナーが協力的ではないこともあるだろうが、それ以上に猫への投薬が難しいということが考えられる。錠剤、カプセル、液剤、何を試しても経口的、且つ、継続的な投薬が思うようにはいかない事態に直面することがあるのだ。故に、非経口的な投薬の考案が常に望まれているのである。中でも、皮膚に薬剤を塗る経皮的な投薬が猫にもオーナーにもストレスを与えないと期待されているのだ。

 

冒頭のような背景の中、イギリスおよびアメリカに拠点を置く製薬会社PCCAは、経皮投与としては認可されていない薬剤を敢えて経皮的に猫へ投与し、病気の治療に成功したケースを発表した。なお、その発表によると、以下に示す2つのケースにて計3匹の猫が薬剤(皮膚への浸透を促進する基材と混ぜたもの)の経皮投与で救われたという。

◆ケース1◆
・交通事故後に痙攣を起こすようになった1例
・ガバペンチンを1日3回耳の皮膚に塗布

◆ケース2◆
・不適切な排泄をする2例
・フルオキセチンを1日1回皮膚に塗布

 

3ヶ月に渡る投薬ののち、オーナーにQOLを含む生活状況を伺う質問票が渡された。結果は良好。大幅な改善が認められたとのことだ。つまり、経皮的な投薬は、あらゆる経口的な投薬が難しい猫に対する代替手段になり得ることが分かる。よって、今後、経皮投与が可能な薬剤を特定する研究が進み、猫にとってもオーナーにとっても、引いては動物病院スタッフにとってもストレスの少ない簡便な投薬を選択できる病気が増えていくことを願っている。

ケース1および2で使用された薬剤の用量はリンク先の文献をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36445765/


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