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北海道で獣医師目指す少女を描いた小説

投稿者:AsaT

獣医師を目指して北海道の大学で奮闘する少女の成長を描いた藤岡陽子さんの小説「リラの花咲くけものみち」(光文社、1870円)が出版された。

記事によると、主人公は幼いころから動物が大好きだった主人公の岸本聡里(さとり)。小学生の時に母を亡くし、父の再婚相手ともうまくいかず、中学校で不登校になる。だが、祖母のチドリに引き取られ、ペットたちと暮らすうちに獣医師を志していく。

進学先の北農大獣医学類で、慣れない寮生活が始まる。面倒見のよい先輩や気難しいと思っていたルームメート、同級生の男子学生らと接するうち、心に負った傷を回復させる。学業に動物病院でのアルバイト、実習にと駆け回る日々を送り、挫折を重ねながらも、自身の進む道を描いていく。  聡里が暮らす北海道の雄大な風景は美しく、同級生や先輩、大人たちも優しく支える。聡里が少しずつ強く、たくましく成長していく過程がみずみずしく描かれた物語。

作家の藤岡陽子さんは京都出身。藤岡さんが作品の着想を得たのは、酪農学園大に通う長女の存在だった。幼いころから動物が好きで、大学でも獣医学を学ぶ。獣医師の仕事は動物を助けるばかりでなく、時に命の選択をすることも教えられた。「想像以上に過酷でタフ。動物が好きというだけだとつとまらない、命と向き合う獣医師の現実も伝えたい」との思いで執筆したという。

酪農学園大の現役学生やさまざまな年代の獣医師に取材しつつ、キャンパスにも足を運んだ。大学のシンボルの白樺(しらかば)並木などに囲まれた風景に心を打たれたという。「心に傷を負っている少女が、大自然の中で癒やされていく物語を書きたい」と構想が膨らんだ。

聡里や同級生たちの生活や心理描写はリアルそのものだ。実際に酪農学園の学生も思わず、「入寮のシーンなど、自分のことが書いてあるのかと思った」と笑う。  聡里はペットの専門医を目指していたが、「経済動物」と呼ばれる牛や馬などの大動物に向き合う獣医師の姿も目の当たりにし、どちらの道を選択するか、揺れる。進路を巡る悩みや葛藤も、学生たちへの取材で知った。「聡里がどの道を選ぶかは、実は途中まで迷っていた」と明かす。

物語の中で、祖母のチドリは孫の夢を人生をかけて後押しする。「進路に迷ってあきらめている人、一歩前に出る勇気を持てない人に、ぜひ読んでもらいたい」と話す。

 「リラ」はライラックの仏訳。作中に、多くの花や動物も登場し、花言葉もちりばめられている。厳しくも美しい冬の景色も描いた。「北海道と縁ができて初めて発見した圧倒的な大自然も伝えたい。私にとっても憧れの詰まった一冊」と言う。


https://mainichi.jp/articles/20230811/k00/00m/040/234000c

<2023/08/12 毎日新聞>

北海道で獣医師目指す少女を描いた小説(写真と記事は関係ありません)

 


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