今年、主に北海道に分布しているエキノッコクスが愛知県の犬から発見されたように、感染症の地域性(疫学)は、見直しを必要としているものが目立つようになってきた。海外のケースに視点を移すと、ドイツ・フィンランド・中国もさることながら、イギリス国内での急速なマダニの拡大が一例として挙げられる。しかし、英国の懸念は、本格的な疫学的研究(実態の解明)が進展している訳ではなく、仮説の範囲を脱しないという見方もあった。
そこで、ブリストル大学は、動物用製品を幅広く手掛けるMSD Animal Health社と協力して、イギリスにおけるマダニの分布をアップデートする調査(Big Tick Project)を2015年より開始している。なお、同調査の結果は現在公開中で、地図を色分けする形式を用いて、マダニに曝露されるリスクが認識できるとのことである。
上記に示したマダニの仲間は、日本にも生息しており、当該寄生虫が媒介した病原体に感染したヒトが死亡する報告が後を絶たず、県内初の発生が報道されることもあるため、既に、本国でもマダニの分布状況を改める時期(大規模な疫学的調査に乗り出すタイミング)を迎えているのかも知れない。
参考ページ:
http://www.bigtickproject.co.uk/