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犬に結膜炎を起こす耐性菌に対するファージ点眼薬の有効性

投稿者:武井 昭紘

ファージ。
高校で習った生物学の記憶を頼りにすると、それは、細菌に感染するウイルスである。つまり、彼らの力を借りられるとするならば、生体の細胞に悪い影響を及ぼすことなく、細菌だけを殲滅させることができるのではという仮説が立つのだ。そして、この「希望の光」は、新しい抗生剤の開発と薬剤耐性菌の出現といった、「いたちごっこ」に終止符を打つキッカケになるかも知れないとも思うのである。

そのような背景の中。ポーランドの大学らは、細菌性結膜炎を起こした犬からブドウ球菌を分離・培養し、その培地にファージで構成された点眼薬を滴下する研究を行った。すると、多くのブドウ球菌が3種類以上の抗生剤に耐性を示すこととともに、それら全て(100%)の株の増殖をファージが阻止することが判明したという。

上記のことから、ファージ点眼薬は、抗生剤に依存することなく細菌性結膜炎を治療する薬剤になり得ることが窺える。よって、今後、in vivoにて研究が進められ、この点眼薬の有効性が実証されていくことを期待している。

本研究で用いられた点眼薬の細菌を溶解する力価は、10の8乗PFU/mLだとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33319700/


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