何らかの原因によって心筋組織が損傷を被った時、その損傷を補い、心機能の低下を阻止するために、再生医療が適応される場合がある。つまりは、損傷部位に「生きている細胞」を送達し、再生を促すことになるのだ。しかし、この治療法には、大きな問題点があると言われている。費用・時間が掛かり過ぎること。そして、生きている細胞(生細胞)が生着しなかったり、腫瘍のように増殖し過ぎてしまったりすることである。
そこで、ノースカロライナ大学は、生細胞に依存しない再生医療の実現を目指し、特殊な心臓パッチを作成する研究を行った。なお、同パッチは、細胞が増殖するための足場となる細胞外マトリックスと、カプセル化された心臓細胞由来の組織修復因子で構成されており、これをラットや豚の損傷した心筋に移植することによって、瘢痕組織を30%減少させることに成功したとのことで、更には、ラットにおいて心機能の回復も認められたというのだ。
上記のことから、この心臓パッチは、次世代の再生医療を担う存在になり得ると期待されている。よって、今後の動向に注視するとともに、犬猫が発症する弁膜症や心筋症の病態進行を遅らせることを目的として、心臓パッチを彼らに適応する研究が計画されることを願っている。
参考ページ:
news.ncsu.edu/2020/04/cheng-artificial-cardiac-patch/