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眼球摘出術を受けた犬における手術部位感染の発生率と危険因子を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

手術部位感染(Surgical site infections、SSI)は、手術の成績を悪化させ、術後に医療費を増大し、外科以外の補助的な治療の開始を遅延させるもので、可能な限り避けなければならない合併症である。そのため、外科疾患や術式一つひとつを取り上げて、SSIのリスクや予防法を把握する必要があるのだ。

 

冒頭のような背景の中、ジョージア大学は、大学付属動物病院にて眼球摘出術に臨み、且つ、SSIの有無がチェックされている犬280匹のデータを解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆眼球摘出術を受けた犬における手術部位感染の発生率と危険因子◆
・発生率は5%であった
・危険因子は特定できなかった
・他の抗生剤と比べてセファレキシンを術後に投与された症例でSSIのリスクが高かった
・手術後に予防的に投与される抗生剤の効果はSSIのリスクを低下させなかった

 

残念ながら、本研究では危険因子を特定できなかった。とはいえ、一定(5%)の確率でSSIは起きていることが分かる。よって、今後、SSIを発症した症例と発症しなかった症例の相違点を詳しく解析する研究が進み、眼球摘出のみならず術後管理全般が安定したものになることを期待している。

同大学は、予防的な抗生剤の投与の臨床的意義は不明だと述べています。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1086956/full


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