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イギリスで急遽キャンセルされたアメリカン・ブリーが主役のイベント

投稿者:武井 昭紘

2023年4月8日(土)。イギリスにて、あるイベントが予定されていた。それは、アメリカ原産の大型犬アメリカン・ブリーが主役となるものであった。しかし、4月6日(木)、このイベントは急遽中止に追い込まれる。その理由はというと、天候、震災、テロといった止むを得ない事情ではなかった。果たして、同イベントを巡り、何が起こったのだろうか。

インターネットで「アメリカン・ブリー」と検索をすると、筋骨隆々で逞しい姿の犬が表示される。凛々しさを感じる顔にピンと立った耳。一度見れば、忘れることのできない印象を受ける。しかし、その顔は「作られたもの」だ。生まれた時には垂れている耳がカットされているのである。

イギリスでは、犬に断耳術を施すことは法律で禁止されている。だが一方で、国外で断耳術を受けた犬の輸入は合法的にできる状況だ。そして、これを背景にして、過去のアメリカン・ブリーが主役のイベントで開催されたドックショーで、断耳術を受けた個体が賞を獲得した。これに懸念を示したのがケネルクラブだ。耳を切断する苦痛は、動物福祉に反する行為と判断されたのである。断耳術は称賛されるべきものではない。ましてや、その手術を経験した犬が賞を獲るなどあってはならないこと。かくして、イベントは中止となった。

おそらく、アメリカン・ブリーに限ることなく、これからのドッグイベントでは動物福祉が重視される。断耳術、断尾術、抜爪術に狼爪の切除。これらに対する否定的な見方は強るだろう。その時、イベントはどう変わっていくのか。ヒトのみならず犬も楽しめるイベントをどのように創り上げていくのか。今後の動向に注視したい。

断耳術を受けた後の犬の外観を本来(生来)の姿と認識しているヒトが多いと思いますので、彼らに動物福祉上の問題を啓蒙することが重要ではないでしょうか。

 

参考ページ:

https://mrcvs.co.uk/en/news/22436/Dog-show-cancelled-again-over-cropped-ears-concerns-


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