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歯科処置を受けた猫の口腔内に起きた異変

投稿者:武井 昭紘

ある猫(11歳、不妊メス)が、歯科処置をうけるために動物病院を訪れた。その時は、外見上の異常は見受けられなかった。しかし、事態は急変する。処置から15日後、彼女の顔貌は「以前」とは異なっていた。口を抉じ開けるかの如く、下顎の口腔粘膜に腫瘤が発生していたのだ。一体、この腫瘤の正体とは何であろうか—–。

生検では、間葉系由来で紡錘形~円形の腫瘍細胞を検出。未分化の肉腫を示唆する所見であった。6ヶ月に及ぶ内科的管理を経るも、状態が悪化し、彼女は安楽死された。その後の剖検では、下顎骨への浸潤、右下顎リンパ節への転移を伴った組織球肉腫が口腔内で確認された。

 

『猫の口腔内組織球肉腫に関する症例報告は2件目である。』

発表を行ったミッドウェスタン大学は、このように述べる。また、この腫瘍の挙動および予後は不明だと訴える。果たして、「15日前」の歯科処置の時点で、本当に腫瘍は存在していなかったのか。また、口腔内組織球肉腫は、約2週間という急速なスピードで増殖する能力を有しているのか。今後、症例数が積み重ねられ、その実態が明らかになることを願っている。

今回報告された口腔内組織球肉腫の免疫組織化学的な特徴は、リンク先の文献をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1177/20551169211058044


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