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短頭種が罹患しやすい病気はどれ?~120万頭のビックデータが示す予想を超える事実~

投稿者:武井 昭紘

短頭種と聞くと、呼吸器疾患(短頭種気道症候群)を起こしやすい犬種であるとイメージする先生方は多いと思う。しかし、短頭種は呼吸器のトラブルだけを注意していれば良いということでは終わらない。実際に、呼吸器以外の病気を抱えた短頭種を診察した経験も少なくないはずである。

そこで、今回は、アメリカの保険会社であるNationwideが発表した短頭種が罹患しやすい疾患に関する調査が「予想を超える結果」となっているので、紹介したいと思う。対象となったのは、同社と契約をしているペットオーナーの犬であると同時に、何らかの診断・治療を受けて保険請求をした約129万頭の症例(2007年~2015年の申請分)であり、短頭種は約19万頭で、それ以外の犬種が110万頭という割合であった。そして、以下に示す疾患について、短頭種と全犬種で有病率を統計学的に比較することで、調査は進められた。

◆全犬種と短頭種の有病率を比較した疾患◆

記事を閲覧されている先生方の中で、下記のリストの中から短頭種が罹患しやすい疾患が当てられる方はおられるだろうか(答えはリストの下に記載する)。

・外耳炎
・膿皮症
・真菌性皮膚炎
・アトピー
・アレルギー性皮膚炎
・悪性新生物(皮膚)
・結膜炎
・角膜潰瘍
・膀胱炎
・肛門腺のトラブル
・肺炎

 

答えは「全て」である。

調査の結果から、短頭種は全犬種に比較して、全ての疾患の有病率が高いことが判明したのである(参考ページをご参照下さい)。その中でも、全犬種(1.4%)より特に有病率が高いものは「角膜潰瘍」であり、短頭種では6.3%(全犬種の約4.5倍)であった。

上記のことはアメリカでの短頭種の有病率の現状であるが、以前に紹介した記事の通り、短頭種の飼育頭数が増加している国(イギリス)もあるため、2016年以降の保険申請分を基に同様の調査を行えば、さらに短頭種の有病率が上昇していることが予想できる。また、日本の臨床現場でも、短頭種を診察する機会は少なくないはずであるので、「短頭種特有の有病率の高さ」に注意を払うことが大切であると思われる。

短頭種は呼吸器のトラブルを抱えやすいのではなく、全般的に病気になりやすいという認識も持った方が良いかも知れません。

短頭種は呼吸器のトラブルを抱えやすいのではなく、全般的に病気になりやすいという認識も持った方が良いかも知れません。

 

参考ページ:

http://veterinarynews.dvm360.com/data-brachycephalic-breeds-suffer-higher-incidences-non-respiratory-diseases


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