日本のペット業界において、人気の犬種や猫種が存在していて、それぞれの時代での「流行」を見ることができる。しかし、「生き物」に対する流行(はやり)は、人気に乗じて動物を飼ったは良いが飼い切れなくなった末の飼育放棄、営利目的のブリーダーによる乱繁殖、珍しい毛色を作った結果の遺伝病の発生などの問題を抱えていることがある。現在、これと似た現象がイギリスで起きようとしており、懸念が高まっているので、紹介したいと思う。
近年、イギリスではラブラドール・レトリーバーが最も人気のある犬種であるが、ある犬種がラブラドールの人気を猛追しており、2018年末までには、ケネルクラブへの登録頭数が逆転するのではないかと推測されている。その犬種とはフレンチ・ブルドックであり、イギリスにおける登録頭数の増加は著しく、過去1年間で47%(約1.5倍)、過去5年間で368%(約3.6倍)、過去10年間で3000%(約30倍)といった急増をしている。
また、前回の記事に記載した通り、イギリスでは短頭種の保護件数も増加しているという現状がある。今後、さらに、フレンチ・ブルドックの登録頭数が増えれば、飼育放棄などによる保護件数も増加していくことが容易に予想できる。ファッション、音楽、観光地などの流行は経済的効果が絶大であり、景気を改善するキッカケとなるかも知れないが、生き物に対する流行は「生命(いのち、命)」が関係していることであるため、ヒトの都合で天寿を全うできない(殺処分や飢餓など)ということがないように規制や法整備が必要であると考えられる。
参考ページ:
https://www.vettimes.co.uk/news/french-bulldog-on-course-to-become-uks-top-dog/