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クマ対策の人材争奪戦 専門家不足が深刻

投稿者:AsaT

相次ぐクマの人身被害を受け、自治体が被害防止策の計画などにあたる専門職員の確保に力を入れている。国も人件費支援に乗り出したが、有害鳥獣の管理を専門的に学んだ人が少ない上、一斉に募集がかかったことで、人材争奪戦の様相を呈している。

3月下旬、東京都内で開かれたクマの保護管理に関する国の検討会で、ある大学教授が声を上げた。 「私のところにも問い合わせが来ている。人材は奪い合いの状況だ」。

記事によると、教授が指摘したのは、野生動物に関する知識や経験を持ち、クマの出没傾向を分析して被害防止策を検討したり、住民への啓発活動を行ったりできる人材だ。2025年度の人身被害者数は、東北地方を中心に死者13人を含む238人に上った。国も都道府県の専門職員採用を後押しする財源を補正予算に盛り込んだ。

昨年12月から、ほぼ一斉に職員募集が始まり、昨年度、全国最多の5人の死者が出た岩手県は、大学院などでクマの生息状況などを研究した1人を任期付き職員として採用。北海道は人身被害が出た場合に警察との連絡や調整が必要になるため、警察官OB1人を採用した。

クマなどの野生動物の生態は、大学の農学部や獣医学部で研究できるが、捕獲やすみ分けといった個体管理を学べる場所は少ない。さらに今回は、学生の多くがすでに企業などから内定を得ていた時期の募集だったことも採用難に拍車をかけた。

長期雇用見据え
福島県は応募要件に大学の専攻などは求めず「野生鳥獣に興味のある方」などとした。それでも採用には苦戦したといい、担当者は「大学などに声を掛けて回った」と振り返る。年度ごとの有期採用だが、長期での雇用を見据えており「将来的に高いレベルになれるよう専門知識を身につけてくれれば」と期待する。

今年度「クマ対策室」を新設した鳥取県は、個体管理は長期的に行う必要があるとの考えから、正職員として2人を採用した。県の担当者は「意欲のある人が来てくれてありがたい。正職員としての待遇も大きかったと思う」と振り返る。

一方、山梨県は「大学院で自然科学系科目を専攻し、博士課程を修了」を条件に2月中旬まで募集を行ったが、採用につながらなかった。同時期に採用活動をしていた他県や国と競合したとみている。

野生動物の管理に詳しい岩手大の山内貴義准教授は「クマは県境を越えた個体群で生活する。隣接県で職員同士が連携して生態管理に対応するのも一つの手だ」と話す。

官学でカリキュラム作成…東京農工大など
環境省によると、2025年度に都道府県の鳥獣対策に関わる部署に配属された職員は計3650人。このうち、大学で生態を学ぶなど、クマの専門的知見を持つのは55人で、全体のわずか1・5%だ。

人材不足解消の鍵になりそうなのが、環境省と農林水産省、学識経験者で取りまとめられ、22年度から東京農工大などで始まった「野生動物管理教育モデル・コア・カリキュラム」だ。野生動物の捕獲から関係法令まで学べ、同大では25年度までに延べ996人が受講した。国が鳥獣担当の自治体職員向けに行う研修会でもこのカリキュラムの内容が取り入れられている。

同大の小池伸介教授(生態学)は「専門知識を習得した学生が社会に出る時期を迎えている。行政も専門人材として採用するには、正職員で募集し、異動をなくすなど、長期間施策に取り組める環境を整備する必要がある」と話す。

3月下旬、東京都内で開かれたクマの保護管理に関する国の検討会で、ある大学教授が声を上げた。 「私のところにも問い合わせが来ている。人材は奪い合いの状況だ」。


https://www.yomiuri.co.jp/national/20260410-GYT1T00065/

<2026/04/10 読売新聞オンライン>

クマ対策の人材争奪戦 専門家不足が深刻(写真と記事は関係ありません)

 


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