5歳齢の猫(不妊メス)が、突然にして失明したということで、イギリスにて眼科診療を提供する動物病院を訪れた。因果関係は不明だが、彼女は3日前に歯科処置を受けていた。検査の結果、両眼の視力を喪失していた。また、眼底に異常所見が確認された。網膜の浮腫と網膜剥離(非裂孔原因性)を起こしていたのだ。検査を担当した獣医師は、この所見に見覚えがあった。過去に症例が報告されていたのである。その症例は、血管に浸潤するタイプの肺癌が疑われていた。果たして、彼女も同じように肺癌なのだろうか。それとも、他に原因があるのだろうか。
幸い、身体検査、胸部レントゲン検査に特段の異常は見付からなかった。加えて、初診から4週間後、網膜剥離は治癒していることが判明した。そして、彼女はある程度の視力を取り戻した。以降12ヶ月、至って健康な状態を保った。肺癌の疑いは晴れた。
論文を発表した動物病院は、本症例の病態は2つの研究から推測できると述べる。1つ目は、猫の口の開き具合によって上顎の血管の血流は制限されるという研究。2つ目は、この血流の制限は失明を誘発することがあるという研究だ。歯科処置の際に、本症例の口はどれくらい開いたのだろうか。読者の皆様が歯科処置のために猫の口を開く場合は、その程度を最小限に留めて頂けると有り難い。

同院は、長時間に渡って猫の口を開いたままにすることも控えましょうと訴えております。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40012924/


