改めて言うまでもないが、猫が発症する伝染性腹膜炎は致死的経過を辿ることのある危険な感染症である。そのため、各種臨床検査所見をヒントに当該疾患を早期に疑うアルゴリズムや、僅かであっても救命率が向上する方法について日々研究されているのだ。そこで、本稿では、テキサスA&M大学が発表した研究を紹介したい。なお、その研究とは、伝染性腹膜炎の猫の胸部X線検査所見に関するものである。
◆伝染性腹膜炎を発症した猫の胸部X線検査所見◆
・35匹の猫を対象にした
・18匹が伝染性腹膜炎と確定していた
・17匹は伝染性腹膜炎だと疑われていた(推定されていた)
・32匹(約91%)の胸部X線検査で異常が確認された(①)
・①のうち13匹(約41%)に胸水が認められた(②)
・②の大部分(約85%)が両側性の胸水であった
・①のうち25匹(約78%)で肺に異常が見付かった(③)
・③の84%で間質性パターンが認められた
・③の44%で気管支パターンが認められた
・③の40%で肺胞パターンが認められた
・総じて③の72%が混合パターンとなっていた
・①の50%で胸骨下リンパ節の腫脹を認めた
・③の12%で肺に結節が存在していた
・①のうち6匹(約19%)で心拡大が認められた(④)
・④の50%は心筋炎であった
・心拡大の原因は他に心嚢水貯留、心拍出量増大、心筋症(伝染性腹膜炎との関連は無いようであった)があった
上記のことから、伝染性腹膜炎を発症した猫の胸部X線検査では様々な異常所見が認められることが窺える。よって、列挙した異常所見を持つ猫の診察では、伝染性腹膜炎を鑑別リストに追加することが望ましいと思われる。

病理組織検査が実施され症例では肺水腫、化膿性胸膜炎、血管炎を伴う肺炎、心筋炎、リンパ節炎が認められたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39930322/


