アメリカの大学らの研究によると、CBCで測定できる好中球数とリンパ球数を基にした好中球/リンパ球比(neutrophil-to-lymphocyte ratio、NLR)は、肥大型心筋症の猫における死亡リスク、左心房のサイズと機能、超音波検査所見(もやもやエコー)、血栓の形成と関連しているという。また、イギリスの大学らの研究によると、僧帽弁閉鎖不全症の犬の重症化とPCVの上昇に関連性が認められるとのことである。つまり、血液中の細胞成分に纏わるのデータを基にした指数・指標が循環器疾患の重症度の判定に利用できると考えることができるのだ。
冒頭のような背景の中、ヨーロッパの大学らは、僧帽弁閉鎖不全症に起因した心不全を抱える犬を対象にして、彼らの血液中の細胞成分に纏わるのデータを解析する研究を行った。すると、前述したNLRと、赤血球のサイズの「ばらつき」を示す赤血球分布幅(red cell distribution width、RDW)と血小板数の比であるRDW/PLTが当該疾患の重症度に関連していることが判明したという。具体的には、NLRが>5.8(感度57%、特異度68%)、RDW/PLTが≤0.057(感度100%、特異度57%)を示す時、病態が重度であると判定できるとのことだ。
上記のことから、X線検査、超音波検査、バイオマーカーの測定以外の方法によっても、つまり血液中の細胞成分に纏わるのデータによっても、犬猫の循環器疾患の重症度を判定し得ることが窺える。よって、今後、循環器疾患の病期分類を更に高精度にするべくNLRやRDW/PLTを組み込んだステージング手法が確立されることを期待している。また、NLRやRDW/PLTを調整することで重症化を防ぐ新たな治療法が開発されることを願っている。

研究に参加した犬は、ACVIMが提唱する病期分類でステージングされたとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38849636/


