ドイツ原産の大型犬ボクサーはイギリスで人気が高く、同国で飼育されている犬の100匹に1匹は当該品種であると言われている。そのため、ボクサーが抱える健康問題を把握することは重要と考えられているのだ。果たして、彼らと彼らのオーナーは何に苦しみ、何に悩んでいるのだろうか。
冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、大規模臨床データベースに登録されたボクサー3200匹以上の診療記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆ボクサーの健康問題◆
・最も一般的な病気は皮膚疾患であった(約18%)
・次いで悪性腫瘍(約14%)、耳科疾患(約10%)が続いた
・診療記録には外耳炎、エプリス、角膜潰瘍、歯周病、心雑音、皮膚のしこりというワードが目立っていた
・オスでは心雑音、攻撃性行動、外耳炎のリスクが高かった
・メスでは歯周病、皮膚のしこり、尿失禁のリスクが高かった
・悪性腫瘍が最も一般的な死因であった(死亡例の約12%を占める)
・次いで脳のトラブル(約10%)が一般的な死因であった
・毛色(ブリンドル、ダークレッド、ホワイト)と健康問題に関連性はなかった
上記のことから、耳も含めた皮膚疾患、悪性腫瘍が大きな健康問題であることが窺える。また、オスでは攻撃性行動、メスでは歯周病が悩ましいトラブルであるとも言える。よって、ボクサーを飼育する世帯では、腫瘍の有無をチェックする健康診断、躾やトレーニング、デンタルケアを検討することをお薦めする。
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