ニュース

犬のレプトスピラ症を早期に診断するための機械学習

投稿者:武井 昭紘

犬のレプトスピラ症は、肝臓や腎臓に障害を起こし、出血や黄疸、時に膵炎や肺出血を伴って、最悪の場合は亡くなってしまうことがある感染症である。しかし、その脅威の反面、迅速な診断と適切な治療を施せば、90%の症例が回復するとも言われている。つまり、早期診断が、同感染症の診療における鍵なのである。だが、確定診断で用いられている顕微鏡下凝集試験(microscopic agglutination test、MAT)は、場合により2週間以上の時間を要し、感染症初期において感度が劣るとされているのだ。

そこで、カリフォルニア大学は、レプトスピラに感染した犬90匹以上と感染していない犬320匹以上の経過を人工知能に学習させ、アルゴリズムを作成する研究を行った。すると、感度100%および特異度約91%の精度を誇るアルゴリズムが完成したという。また、MATと組み合わせると、特異度が93%以上に向上することが判明したという。

上記のことから、本研究で完成したアルゴリズムは、レプトスピラ症の早期診断を実現するツールだと考えられる。よって、今後、このアルゴリズムが世界的に普及し、同感染症に苦しむ犬が1日でも早く回復する未来が訪れることを期待している。

精度の算出には、レプトスピラに感染した犬9匹と感染していない犬44匹が参加しているとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35603565/


コメントする