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猫の急性腎障害を評価するマーカーとしてのSDMAの有用性を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

SDMA(symmetric dimethylarginine、対称性ジメチルアルギニン)は、犬および猫の糸球体濾過量(GFR)が約40%低下したタイミングを検出する臨床検査の一つであり、早期に慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)を発見する鋭敏で優れたバイオマーカーとして広く認識されている。しかし、猫において急性に腎機能が低下する現象、いわゆる急性腎障害(acute kidney injury、AKI)の診断にSDMAが有用であるかについては、充分な情報は無いのが現状である。

そこで、ケンブリッジ大学は、猫60匹以上を対象にして、血清中に含まれるSDMAの濃度を測定する研究を行った。なお、同研究では、①健康なグループ、②AKIと診断されたグループ、③CKDが急性増悪したグループ、④CKDと診断されたグループの4つに猫が振り分けられている。すると、①に比較して②~④のSDMA濃度は有意に高いことが判明したという。また、AKIのグレードが高い程、同濃度は上昇するといった相関関係も確認できたとのことである。

上記のことから、SDMAは、猫のAKIを診断し、グレードを決定することができる有用なマーカーになり得ることが窺える。よって、今後、この診断およびグレードの決定に利用できるSDMAの参照値が設定され、猫の泌尿器診療がより高精度化することを期待している。

各グループの測定結果につきましては、リンク先の文献をご参照下さい。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35903963/


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