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宮崎 獣医師で歌人として注目される久永草太さん

投稿者:AsaT

第1歌集「命の部首」(本阿弥書店)で2025年、歌人の登竜門として知られる現代歌人協会賞を受けるなど、。若手歌人として注目される久永草太さん(27・宮崎市)は子供の頃から動植物に親しみ、作文が大好きだったという。獣医師をしながら日常を詠む久永さんに、生き物との関わりや創作活動を行っています。

久永さんに生き物との関わりや創作活動の歩みを聞いた記事のご紹介です。

――生き物への関心はいつから?
小学4年生の頃からバードウォッチングをしていました。鳥が好きな祖父母の影響です。学校の横の池はミサゴも、キンクロハジロ(カモの仲間)などもいた。池で見た100種類ぐらいの野鳥をまとめて自由研究にもしました。  ところが、中学校では深夜まで宿題に時間がとられ、野鳥観察に行けなくなった。その代わり、下校の道ばたの植物やトンボなどに目が行くようになった。祖母が植物に詳しく、祖父母の家に寄って図鑑を見せてもらって調べるなどして、生きもの全体に興味が広がりました。

――獣医師を目指したきっかけは?
小学校高学年の時、口蹄疫(こうていえき)があり、獣医師という職業を知った。ただ、畜産に携わりたいとか、助けたいというより、生き物について勉強したい、詳しくなりたいと思ったのが正直な理由です。

――国語も得意だった?
書くことが好きで、中学生の時はいろんな作文コンクールに出しました。国語の先生がうまく導いてくれる方で、ビシバシ書かせてくれた。数学の進度が速くてついて行けずしょんぼりしていたけど、自分は文章を書くことは得意だと思えたから学校に通い続けられた。

いろいろもらった賞の中でも、「動物の作文コンクール」(宮崎市フェニックス自然動物園、朝日新聞社主催)は絶対とりたかった。2年生の時に銀賞で、次は一番上の賞をとるぞと3年生に上がる前から取りかかりました。偶然見かけた、皮膚病に感染した野生のタヌキを題材にしました。その作品で特別賞(宮崎市長賞)をもらったのは本当にいい思い出です。

――短歌は高校生になって始めたのですか?
宮崎西高校で山岳部と生物部、そして途中から文芸部に入りました。山は植物観察が面白く、生物部では池の藻の量とカモの関係を調べるなどしていました。文芸部では、先生が短歌の会を開いていて、図書室で茶菓子が出るのにつられて参加してました。単語や助詞の使い方といった、言葉の細かな話をねちっこくやるのが楽しくなった。

3年生で牧水・短歌甲子園への出場メンバーになれた。決勝まで行って、宮崎商業高に負けたのがとても悔しくて、「この壇上にいる中で一番最後まで短歌を続けてやる」と決心しました。それまでは大学に行ってからも続けるとか考えてなかったです。

そしたら結局、その時の出場者はみんな続けていて、今活躍している石井大成さん(宮崎西出身)や狩峰隆希さん(宮崎商出身)もいる。

――歌集では、大学の実習で接した動物の命にかかわる歌も印象的です。
宮崎大に入学した時は大学の短歌会が出来て間もなかった。同じ農学部の学生にも声をかけてメンバーを広げた。短歌結社竹柏会「心の花」にも入りました。短歌甲子園の審査委員長でもあった伊藤一彦先生は自分のことを覚えていてくれた。

伊藤先生からは「新人賞は?」と促されたのですが、コロナ禍もあって2年ぐらいサボっていました。(獣医学科)6年生の時、「獣医の歌を詠みなさい」という風にまた言われて。でも結構難しいんです。専門用語をそのまま使っても伝わらない。難しいと思いながら詠んだ連作で、新人賞の一つ歌壇賞をいただきました。

ちょうど卒論で忙しい頃に受賞連絡が来て、獣医師の国家試験4日前に授賞式がありました。短歌は趣味として続けていくんだろうと思っていたのが、獣医師より先に、歌の方でプロの登竜門とされる賞をもらった。想像してなかったが、物を書く場が与えられるのは素直にうれしいです。

――生き物についてさらに詠んでいきますか?
生き物は名前から面白いものも多く、生態も面白い。ただ、人間が勝手に思うことをあてはめないようにしたい。たとえば、花は子孫を残すために苦しんで咲いているのかもしれないのに、「花が笑う」と擬人法で言っていいのか。大切なことだし難しいところではあります。

――これからの展望は?
獣医師も歌も続けていきたい。書いたものを残すのは、人間しかやってないこと。たとえば万葉集に詠み人知らずの「多摩川に さらす手作り さらさらに なにそこの児の ここだかなしき」という歌がある。作者を離れて、紙の寿命を超えて1300年も生きている。そういう風に残るものをつくれたら、とあこがれます。((聞き手・後藤たづ子)

久永さんは朝日新聞宮崎総局の屋上ビオトープを冬に訪問。
トロ箱でつくったビオトープの中に生き物の姿はなかったが、川辺や田んぼに由来する草が実をつけたままの姿で残る様子を見て次の一首を詠んでくれました。

トロ舟が方舟となるかもしれずホタルイゆれているビオトープ


https://www.asahi.com/articles/ASV414TYVV41TIPE00GM.html

<2026/04/02 朝日新聞>

宮崎 獣医師で歌人として注目される久永草太さん(写真と記事は関係ありません)

 


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