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犬の甲状腺機能亢進症の新たな原因が発見される

投稿者:武井 昭紘

犬の甲状腺機能亢進症は、非常に稀な内分泌疾患であり、大部分の症例が甲状腺の腫瘍を原因として発症する。そのため、治療方法は外科手術が選択されることがあり、甲状腺ホルモンを抑える薬物療法を併用する場合もある。しかし、アメリカ食品医薬品局(FDA)が、上記の治療では対応できない甲状腺機能亢進症が確認されたとして、注意喚起をしている。

FDAは、3例の犬の甲状腺機能亢進症を発表しており、いずれも血液中の甲状腺ホルモン濃度が上昇しているにも関わらず、甲状腺腫瘍(甲状腺癌)は除外された症例であった。また、検出された血液中の甲状腺ホルモンは、各個体が有する甲状腺から分泌されたものではなく、体外から取り込まれたものであることも判明した。加えて、この3例には他にも共通点があり、某ペットフードメーカー2社の缶詰めを食べていたことが明らかになった。さらに、当該の缶詰めフード(未開封品)から甲状腺ホルモンが検出されたため、FDAは罹患犬3例のペットオーナーに缶詰めの給与を中止するように指示を出した。

その結果、食事内容を改善して数週間後には、罹患犬から甲状腺機能亢進症の臨床症状が消失し、血液中の甲状腺ホルモンの数値も基準値に低下したとのことである。これを受けて、FDAとペットフードメーカー2社は、甲状腺ホルモンが検出された缶詰めをリコール(自主回収)することを決定した。

上記のことから、FDAは、ペットフードを製造するために仕入れた動物由来の原材料(特に舌・喉頭組織)に甲状腺ホルモンが残存している可能性があるとして、注意喚起を行っている。そして、ペットフードメーカーが使用している原材料の甲状腺ホルモン含有量をチェックすることを希望する場合には、アメリカペットフード協会(Pet Food Institute、PFI)やアメリカ飼料検査官協会(Association of American Feed Control Officials、AAFCO)に問い合わせをするようにFDAは推奨している。

仮に、現在、甲状腺機能亢進症を疑う犬を抱えている動物病院があるとしたら、甲状腺癌の鑑別診断よりも先に、問診で飼育環境(食事内容)を明確にしておくことが、治療成績を向上させるために必要なことかも知れない。

皮膚疾患、消化器疾患と同様に、内分泌疾患の症例の中にもペットフードが原因となっているケースが隠れているかも知れません。

皮膚疾患、消化器疾患と同様に、内分泌疾患の症例の中にもペットフードが原因となっているケースが隠れているかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.fda.gov/AnimalVeterinary/ResourcesforYou/ucm548914.htm


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