人医療では勿論のこと、獣医療の臨床現場において、研究データ(エビデンス)を基にした診断、治療が重要となっている。しかし、人医療に比較して、獣医療において大規模な臨床研究を行うことは、非常に困難である。
この原因は、研究者の立場から表現すると、「症例を集めることができない現状」があり、臨床現場の獣医師やペットオーナーの立場から表現すると、「参加できる臨床研究がどこで行われているか分からない現状」があることが挙げられる。
そこで、American Veterinary Medical Association(AVMA)は、2016年6月に臨床研究のデータを集約し、研究者に提供するとともに、臨床獣医師およびペットオーナーに向けて情報を提供するシステムを発表した。現在、AVMAのシステムは、アメリカ、カナダ、イギリスを対象として提供されており、以下の事項を目的として、運営されている。
1.研究データの集約と発信(これまでの研究データベースのサイトと同様)
2.研究者が研究に必要な症例を集めるための活動のサポート
3.獣医師およびペットオーナーが参加できる臨床研究の紹介
4.コストや時間の削減(研究費、治療費、研究者・獣医師・ペットオーナーの下調べの時間など)
システムが機能することで、研究者は効率的に症例を集めやすくなり、獣医師およびペットオーナーはペットの病気の診断や治療をできる臨床研究を短時間で知ることができるようになることが期待されている。
AVMAの活動のように、今後は、獣医療では大規模な臨床研究が出来ないと断念するのではなく、「大規模な研究を行うにはどのように環境を整えるか」を検討していくことが重要となってくるかも知れない。

獣医療の研究データは、研究者、臨床獣医、ペットオーナーの協力関係を強固にするシステムの中で、人医療と同じレベルに近づくのかも知れない。
参考ページ:
https://www.avma.org/News/JAVMANews/Pages/160715a.aspx


