生命の維持に深く関与する甲状腺ホルモンの分泌低下(甲状腺機能低下症)は、様々な症状を犬に齎す。その中で、当該疾患はメス犬の生殖能力にも影響を与えると言われているのだ。しかし、この影響について体系化された文献は見当たらないという。果たして、甲状腺機能低下症は周産期に何らかのトラブルを起こすのだろうか。
そこで、ドイツの大学らは、過去にドイツ語または英語で報告された論文を対象にして、メス犬の甲状腺機能低下症と周産期トラブルをレビューする研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆甲状腺機能低下症のメス犬の周産期トラブルと新生仔への影響◆
・一部の論文では発情に関する異常、不妊症、乳汁の漏出などが起きると述べられていた
・しかし論文全体ではこれらが関連しているとは言えなかった
・低下症のメス犬から生まれる新生仔の出生時体重は低かった
・また新生仔は虚弱であった
・これらの新生仔への影響は死亡率に関連していた
・実験レベルでは子宮の収縮時間が長くなり、収縮強度が弱くなった
・しかし分娩間隔に異常は起きていなかった
上記のことから、甲状腺機能低下症のメス犬が産む子犬は体重が軽く、虚弱で、死亡するリスクが高いことが窺える。よって、当該疾患を抱えるメス犬の繁殖に関する相談を受けた、あるいは、分娩にアドバイスをする獣医師は、新生仔の管理について注意喚起をすることが望ましいと思われる。

本研究の対象となった論文は、1986年~2023年(2023年は1月まで)の間に報告されたものです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39173650/


