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猫に実施する不妊手術の術式「自己結紮術」の実状を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

猫に実施する不妊手術の術式の一つに、自己結紮術が挙げられる。この術式には利点があり、卵巣提索の結紮に糸を使用しないため組織のダメージが少なく、出血のリスクも抑えられるのだ。しかし、反対に経験と技術を要するといった面を備えている。そして、大学でも極一般的な動物病院でも自己結紮術を習得する機会は無いに等しいのである。結果、術式の利点を考えると広く一般に普及しても良いのだが、「そう」はなってはいない。そこで、疑問が浮かぶ。小動物臨床に従事する獣医師は、自己結紮術についてどのような見解を持っているのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの獣医科大学らはSNSを介して獣医師に匿名のアンケートを依頼し、自己結紮術の実状を調べる研究を行った。すると、140名以上の獣医師から回答を得て、以下に示す事項が明らかになったという。

◆猫に実施する不妊手術の術式「自己結紮術」の実状◆
・54%の獣医師(①)が自己結紮術を活用していた(②46%は活用していなかった)
・①の半数が全ての不妊手術で自己結紮術を活用していた
・①は平均5年間、同術式を使っていた
・①の32%が不妊手術の実施件数が多く質の高い手術を提供する動物病院で技術を学んでいた
・また同数の32%は同僚や指導者から教えてもらっていた
・①の99%は他の獣医師に術式を教えることに抵抗が無かった
・②の14%は自己結紮術が標準的な手段だとは考えていなかった
・②の60%は標準的な手段と回答したが実際に使用はしなかった
・「大学のカリキュラムに含まれていないこと」が最も多い不使用の理由だった

 

上記のことから、何らかの機会に自己結紮術を習得した獣医師は「それ」を活用していることが窺える。一方で、「大学のカリキュラムに含まれていないこと」が術式が普及することを妨げていることも分かる。よって、今後、メリット、デメリット、安全性、術式の詳細を含めて自己結紮術が体系化され、また大学(教育機関)のカリキュラムに組み込むことに対する是非が議論され、猫の不妊手術のレベルが「世界的に」高精度化されることを期待している。

調査は2021年9月~11月にかけて行われました。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39499887/


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