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伝染性腹膜炎を発症した猫と臨床上健康な猫の血漿に含まれるタンパク質の解析

投稿者:武井 昭紘

猫伝染性腹膜炎(Feline infectious peritonitis、FIP)は、突然変異した猫コロナウイルス(feline coronavirus、FCoV)による感染症で、強い炎症を惹起して内臓にダメージを与え致死的経過を辿ることが知られている。また、変異をしていないFCoVの病原性は弱く、FIPと鑑別する必要があるのだ。そこで、疑問が浮かぶ。①臨床上健康な猫や②FCoVに感染するも症状を出していない猫と、③FIPを発症した猫の体内で起きている現象は異なると考えられる。ならば、その違いを捉えて診療に役立てることはできないのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、コロラド州立大学は、①②③の血漿に含まれるタンパク質を解析する研究を行った。すると、130.種類以上のタンパク質が検出され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆①②③の血漿に含まれるタンパク質◆
・①と②に殆ど差異は無かった
・①に比べて③の血漿では219種類のタンパク質が増加していた
・①に比べて③の血漿では223種類のタンパク質が減少していた
・増減しているタンパク質は免疫応答、サイトカイン、抗原の提示、アポトーシス、血管の形成に関わるものであった

 

上記のことから、①②と③の血漿に含まれるタンパク質の構成は異なると言える。よって、今後、差異のあるタンパク質の中から診断マーカー、治療のターゲット、治療効果や予後の判定をするマーカーを特定する研究が進み、FIPに関する診療が効率化・高精度化することを期待している。

①は17匹、②9匹、③は19匹で構成されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38257841/


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