「てんかん」を抱えたヒトや犬には、不安行動や認知機能障害が認められることがある。一方、話は変わるが、糞便移植によって腸内細菌叢が変化した齧歯類では行動にも変化がみられるという。また、スペインの大学らの研究によると、健康な犬と特発性てんかんの犬の腸内細菌叢は異なっているとのことだ。そこで、疑問が浮かぶ。「てんかん」を抱える犬の行動異常は糞便移植で改善するということはないのだろうか。
冒頭のような背景の中、世界の大学らは、フェノバルビタールに反応し長期的に発作がコントロールできている犬から糞便を採取し、それを難治性てんかん(抗てんかん薬が効かないてんかん)と行動異常を認める犬9例に移植する研究を行った。なお、同研究では、2週間ごとに3回の糞便移植が実施され、症例の経過が6ヶ月に渡って追跡されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。
◆難治性てんかんに行動異常が伴った犬に対する糞便移植の効果◆
・ヒトの注意欠陥多動性障害(ADHD)に相当する行動が改善した
・恐怖や不安に起因する行動が改善した
・生活の質も改善した
・興奮性の神経伝達物質(アスパラギン酸、グルタミン酸)の尿中濃度が減少した
・抑制性の神経伝達物質(GABA)およびGABA/グルタミン酸比が増加した
上記のことから、糞便移植は犬の「てんかん」を改善させる効果を発揮することが窺える。よって、今後、難治性てんかんを中心に糞便移植を適応するためのガイドラインが作成され、発作で苦しむ犬とオーナーが減ることを期待している。

血液検査の測定値、糞便中短鎖脂肪酸濃度、抗てんかん薬の血中濃度は変動しなかったとのことです。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38978633/


