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歯科処置を受けた犬猫に投与された抗生剤に関する調査

投稿者:武井 昭紘

犬猫に施される歯科処置には、処置に伴う菌血症に対する予防策として抗生剤療法が適応されることがある。しかし、ある研究によると、この菌血症は一過性で、抗生剤を使用しなくとも治まるというのだ。つまり、全ての症例が当て嵌るとは言えないにせよ、犬猫の歯科処置に不要な抗生剤が使われていることになる。これは、耐性菌が問題となる現代社会において由々しき事態である。果たして、実際の臨床現場では、どのような抗生剤が使用されているのだろうか。要不要を議論する前に、まずは実態の把握が重要だと思われる。

 

冒頭のような背景の中、北米の大学および動物病院らは、アメリカの一次診療施設で実施された犬猫の歯科処置の記録を解析する研究を行った。なお、同研究では、抜歯や歯周病治療は勿論のこと、予防的な歯科処置も対象となっている。すると、犬で71万件以上、猫で10万件以上のデータ集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆歯科処置を受けた犬猫に投与された抗生剤◆
・犬の約16%(①)、猫の14%(②)に局所または全身投与が行われていた
・年齢、体重は抗生剤投与の可能性と関連していた
・歯周病の診断、抜歯も同様であった
・歯周病の重症度はその可能性を左右しなかった
・クリンダマイシン、クラブラン酸アモキシシリン、アモキシシリンが最も一般的であった
・臨床現場で最も重要とされる抗生剤の一群は、①の約27%、②の52%に投与されていた

 

上記のことから、20%に満たない割合で、歯科処置を受ける犬猫に抗生剤が投与されていることが窺える。また、特定の抗生剤が多用されていることも分かる。これらの抗生剤には効果があるのだろうか。使用する根拠となる臨床的な意義はあるのだろうか。多角的な検証が多く行われ、耐性菌を出現させる乱用を避けた抗生剤の使用について議論されることを期待している。

臨床現場で最も重要とされる抗生剤の一群には、セファロスポリン第3・4・5世代、グリコペプチド、マクロライド、ケトライド、ポリミキシンキノロンが含まれます。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38064486/


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