血圧の上昇が深刻な慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)の猫と、そうではなく血圧に大きな異常を認めないCKDの猫には、何か違いはあるのだろうか。この謎を解明することは、当該疾患をより深く理解することに繋がる。そして、それは、病態の進行を把握するバイオマーカーの開発する、あるいは、治療のターゲットを明確にするキッカケになるものと考えられる。
冒頭のような背景の中、イギリスおよびオーストラリアの大学らは、①臨床上健康な猫、②CKDを抱える正常血圧の猫、③高血圧を伴ったCKDを抱える猫を対象して、彼らの尿サンプルに含まれる細胞外小胞(細胞間のコミュニケーションツールとして様々な生体機能を果たす物質)に発現したタンパク質を解析する研究を行った。すると、残念ながら①と②③との間に明らかな違いは認められなかったものの、②と③では発現レベルの異なるタンパク質が以下に示す通り5種類見付かったとのことである。
◆②と③では発現レベルの異なるタンパク質◆
1.アミノペプチダーゼ
2.α2-マクログロブリン
3.コーキシン
4.α-トリプシンインヒビター重鎖4
5.トランスフェリン
果たして、これらのタンパク質は、猫のCKDに高血圧が併発する原因となっているのだろうか。今後、それぞれの役割・機能を明らかにする研究が進み、既存の薬剤よりも効果的な新しいCKD治療薬が開発されることに期待している。

①は9匹、②は10匹、③は9匹のグループで計28匹の猫が本研究に参加しております。
参考ページ:
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jsap.13536


