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ハムスターの寿命と彼らがが抱える健康問題に関する統計学的研究

投稿者:武井 昭紘

世界で最も人気が高い小型のペットといって過言ではないハムスターは、イギリスでも多くの世帯で飼育されている。また、子供たちが初めて接するペットの一つになっていのだ。そのため、動物福祉の向上および動物医療の発展において、彼らの抱えやすい健康問題を詳細に把握することは非常に重要だとされているのである。では果たして、一般家庭で飼育されているハムスターは、どのようなトラブルを経験するのだろうか。

 

冒頭のような背景の中、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、大規模臨床データベースVetCompassに登録されたハムスター約4000匹を対象にして、彼らの診療記録をデータ化する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆ハムスターが抱える健康問題◆
・母集団の約74%はゴールデンハムスター、約14%はジャンガリアンハムスター、約6%はロボロフスキーハムスターであった
・20種類の健康問題がリストに挙がった
・最も一般的な健康問題はウェットテールであった(約7%)
・次いで他個体によって付けられる咬傷(約6%)、爪の過長(約4%)、過長歯(約4%)、外傷(約4%)であった
・寿命は21ヶ月(1.75歳齢)であった
・最も一般的な死因は、ウェットテール(約8%)、腹部腫瘤(約6%)、悪性腫瘍(約5%)、呼吸困難(4%)であった。
・ゴールデンハムスターはメスの生殖器疾患、尿路系疾患、食欲低下を患いやすかった
・ゴールデンハムスターは外傷を負うリスクが少なかった

 

上記のことから、ウェットテール(いわゆる下痢)は時にハムスターの命を奪う病気と認識し、早期に適切な治療を検討する必要があると言える。また、複数匹を同じ空間で飼育した結果、咬傷が後を絶たない場合は、別々の空間で飼育することが望ましいと考えられる。加えて、爪や歯、そして腹部を触って腫瘤を確認することも重要であろう。寿命は21ヶ月。決して長いとは言えない「その人生」を如何に楽しく幸せに過ごしてもらうか。本研究が、それを考えるキッカケになることを願っている。

同大学は、寿命を意識して安楽死の必要性を検討することも必要だと述べています。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/vetcompass/news/largest-study-reveals-most-common-disorders-and-lifespan-of-pet-hamsters-in-the-uk


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