犬の骨肉腫は、長骨、体重の重い個体、ロットワイラーなど特定の品種に起きやすいとされている。そのため、当該疾患に関する研究は、これらの選択的バイアスが掛かっているものが少なくない。そこで、一つの疑問が浮かんでくる。このバイアスを排除した時に、骨肉腫になりやすい犬の特徴に関する見解は変わるのだろうかという疑問が。そして、もし変わるとするならば、当該疾患を見詰め直すキッカケになるのではないだろうかと思うのだ。
そのような背景の中、イギリスの大学らは、大規模臨床データベースVetCompassを用いて、骨肉腫の病歴が無い犬(90万匹以上)と有る犬(1750匹以上)の診療記録を比較する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。
◆骨肉腫になりやすい犬の特徴◆
・ロットワイラー、グレートデン、ローデシアンリッジバックの発症リスク(オッズ比)が10倍以上であった
・ローデシアンリッジバックは骨肉腫になりやすい犬種として報告されたことはない
・ビションフリーゼ、フレンチブルドッグ、キャバリアの発症リスク(0.3倍未満)が低かった
・10kg未満と比較して、40kgを超える個体のオッズ比は45倍以上であった
・軟骨異栄養性犬種は、そうではない犬種と比較して、発症リスクが低い(0.13倍)
上記のことから、大学らは、四肢の長さや体格を決定する遺伝子の中に、骨肉腫の発症に関与する遺伝子の存在を感じると述べる。果たして、その遺伝子はあるのだろうか。また、あるとしたら、繁殖計画の見直しで犬の骨肉腫症例を減らすことはできるのだろうか。今後、それらの謎を明らかにする研究が進められることに期待している。

発症リスクが高い犬種と低い犬種の遺伝子を比較すると、新しい発見が出てくるのかも知れません。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33750475/


