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森林のドングリが豊作になるとライム病の感染リスクが高まる

投稿者:武井 昭紘

ライム病は、ダニが媒介するzoonosisであり、野生のげっ歯類や小鳥が病原体であるスピロヘータ(ボレリア属)を保菌している場合がある。また、ヒトがライム病に感染すると、関節炎、紅斑、良性リンパ球腫、髄膜炎、心筋炎などを認めるため、抗菌剤(ドキシサイクリンなど)による治療が必要となる。ライム病に対するワクチンは日本に導入されていないため、感染予防が非常に重要となる(アメリカにはFDA承認のワクチンがある)。

このライム病に関して、ニューヨークにある森林生態系研究所であるCary Institute of Ecosystem Studiesが大きな懸念を発表している。それは、ハドソンバレー(ニューヨーク州)における生態系の変化と関連しており、森林のドングリが豊作になるという現象から始まる。Cary Institute of Ecosystem Studiesによると、豊富にあるドングリは、野生のげっ歯類の繁殖を促進して、ライム病を起こすボレリア属を蔓延させる原因となるとのことである。さらに、20年間に渡るハドソンバレーの生態系調査の結果、2017年はドングリの大発生に伴うライム病の流行が起こることが予測できるとしている。

仮に、上記の予測が的中した場合、日本においても対岸の火事という訳にはいかない現状がある。それは、野生のげっ歯類およびマダニの病原体保有率は欧米と日本では差異がないと推測されていることである。つまり、2017年のハドソンバレーでのライム病発生状況によっては、日本の森林生態系を監視することが、zoonosisを抑止するための急務かつ重要な課題となるということである。これから、温暖な気候となる季節が訪れるため、ハドソンバレー(ニューヨーク州)の動向に注視したいと思う。

森林の生態系の変化は、小動物臨床の現状を変貌させる大きな影響力を持っているのかも知れません。

森林の生態系の変化は、小動物臨床の現状を変貌させる大きな影響力を持っているのかも知れません。

 

参考ページ:

http://veterinarynews.dvm360.com/bumper-crop-acorns-2015-could-increase-canine-lyme-risk-2017

http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/524-lyme.html


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