東日本大震災からちょうど６年後の今日３月１１日より二日間、第２０回日本獣医皮膚科学会学術大会が大宮で開催されました。最新の皮膚科学の研究を臨床の現場に生かすことを主軸に展開されており、獣医師の先生方にとっての勉強・交流会ともいえる場所ともなっています。そのような場所に２年生である記者が参加して、感じたこと学んだことをレポートでお届けいたします。
会場外に掲げられていた看板＝大宮ソニックシティー
朝９時、受付を済ませ会場入り。周りがすべて先生方と思うとドキドキしました。学会は震災被害者への黙祷と、 *会長である永田先生の開会の辞から始まりました。
（一般社団法人 日本獣医皮膚科学会 http://www.jsvd.jp )
午前中の学会セッションは２つの会場にて同時進行で行われ、参加者は自由に選ぶことができます。
『EAST ASIA VET DERM FORUM』 / 『エキスパートからみた皮膚の世界』
どちらも魅力的なセッションですが、選んだのは*『エキスパートからみた皮膚の世界』。実は『EAST ASIA VET DERM FORUM』はすべて英語で行われたため、慌てて移動しました。
『エキスパートからみた皮膚の世界』では、抗菌薬の基礎研究を佐々木先生、アレルギーと対症療法を増田先生、レオウイルスを用いた新しいガンの治療法について水野先生がお話しされました。学生である記者は、専門用語や菌の名前などわからない単語もあったので調べながら聞いていました。こんな時はGoogle先生が大活躍です！ふと周りを見ると、先生方はパソコンや学会のパンフレットである抄録にメモをとりながら熱心に耳を傾けていました。講演の先生が「ここは明日から使えるので覚えてください」と促すと一斉にメモを取るため、会場が動いているようで面白かったです。また、基礎研究が大いに臨床に貢献しているということが、様々な論文の解説を聞いていて分かり、自身の研究室選びに影響しそうです。学びの途中にある学生には、学会が自分の方向性を見つける良い機会にもなるでしょう。
*座長：大森 啓太郎先生（東京農工大学）、辻本 元先生（東京大学）
参加講師：佐々木 崇先生（順天堂大学）、増田 健一先生（動物アレルギー検査㈱）、水野 拓也先生（山口大学）
会場中の様子＝４階 国際会議室
お昼のランチョンセミナーは事前登録していなかったため、近くに食べに行きました。ランチョンセミナーはどのような交流が行われているのかとても気になりますが、それはいつかの楽しみにとっておきます。食後は会場の外にある企業の出展ブースをまわり、臨床現場で実際に使われている器具などの商品に触らせていただきました。
午後も２つのセッション会場にて講演が行われました。
『耳、魅惑の境界疾患に望む』 / 『座談会 二度と聞けない皮膚科の歴史』
選んだのは、*『座談会 二度と聞けない皮膚科の歴史』です。
明治時代から今に至るまでどのように獣医学、皮膚科学が発展し、学会発足への動きへ結びついていったのかと、これからの学会は何を目指すのか、その役割は何かについてディスカッション形式で行われました。３世代各３人ずつの計９名の先生方が議論を交わしながら、活躍した時代を振り返ったり、現行のシステムを話し合ったりして、会場一体が過去に学んで未来へと向かう意識を高めていました。
*座長：村井妙先生（キンダーケア動物病院）、永田雅彦先生（どうぶつの総合病院）
参加講師：小暮 規夫先生（小暮動物病院）、大草 潔先生（大草動物病院）、長谷川 篤彦先生（東京大学名誉教授）、辻本 元先生（東京大学）小方 宗次先生（ヤマザキ学園大学）、岩﨑 利郎先生（東京農工大学名誉教授）、前田 貞俊先生（岐阜大学）、小林 哲郎先生（NIH）
研究論文のパネル展示
全体を通して感じたこと。それは臨床分野を習っていなくても理解できる基礎分野にも重きを置いていて、非常に内容が面白かったことです。また研究の楽しさに触れられたことも良い経験となりました。学会では先生方の皮膚科学をよくしていこうという熱い想いが伝わってきて、たとえ低学年の獣医学生でも、テーマによっては有意義な時間を過ごせることを確認しました。臨床を詳しく学ぶ高学年は、より充実した学会参加になること間違いなしです！
もし機会があれば、将来臨床に進もうと考えていない方、臨床から離れてしまっている方にも、是非学会に参加して、獣医学に対する先生方の情熱を体感してもらえると嬉しいです。
記事作成者 日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科２年 廣田祥子
