インタビュー

日本獣医学生協会  前会長  大西慶子

前JAVS会長大西慶子さんインタビュー

JAVSという名前の獣医学生団体があることを皆さんはご存知でしょうか。

JAVSとは「日本獣医学生協会」の通称で、「全国の獣医学生が繋がれる場を作りたい!」との思いから創設された学生団体です。2006年に発会し、全国の獣医学生が交流、情報交換することを目的としています。その活動範囲は年々拡大し続け、獣医学生同士の交流のみならず、社会人獣医師による講演会、ワークショップや、動物が好きな一般の方を対象にしたイベントの開催などを行っています。

また、昨年には獣医師情報ポータルサイト「Vetanimall」でJAVSの獣医学生が学生記者として活動を開始しており、今回はその活動の一環として、JAVSの前会長にインタビューを行いました。

インタビューでは、「JAVSとは昨年で設立から10年が経過したが、どういった団体なのか?また、会長を務めるのはどんな学生なのか?」を、現JAVS会長に今後の活動の方向性を伺う前に、1年間の任期を完遂した前JAVS会長である山口大学5年生、大西慶子さんにお話を伺いました。


大西慶子さん写真

前JAVS会長大西慶子さん

1 JAVSとはどういった団体ですか?

“「学生である今」を「獣医師である未来」のために”をスローガンに、全国の獣医学生が自身の未来について考えるきっかけを提供することを大きな柱としている団体です。そのための方法はいくつかあります。

一つは他大学の獣医学生との交流をメインとしたイベントを企画して、全国的なつながりを作ることです。これによって学生のうちに将来の獣医師たちとの人脈を作り、同じ獣医師を目指す人の中でも多種多様な人間がいることを知ることで、幅広い人間像を理解できるようにもなります。また、それ以外にも同じ獣医師免許を取得できる大学の中でも、自分の通っている大学と他の大学の違いを知ることによって、今の自分の学生生活を顧みるきっかけにもなります。

二つ目に講演会や一般の方をお招きしたイベントを企画することで、獣医師と社会がどのように関わっているのかを知るための機会を作ることです。講演会によって社会で活躍している獣医師のお話を聞くことで自身の将来を深く考え、あにまる学園祭というイベントで一般の方々をお招きして獣医師が行っている取り組みの情報発信を行っています。

このように獣医学生の最大限の成長をサポートするための活動を行っています。

 

2 会長への立候補はとても勇気のあることだと思うのですが、実際プレッシャーはありましたか?

正直、就任する前はプレッシャーが大きかったです。今後JAVSの規模が拡大していくことを考えると、ただ単にJAVSに集まる交流が好きな学生による団体の会長ではなく、一般の人には“全国にいる獣医学生の代表”と見られてしまうからです。そのためSNSでの発信もとにかく慎重に行うようになりました。

また、自分自身がトップにふさわしい人間なのかどうかも考えました。同じ山口大学研究室の先輩で、前任の会長でありJAVS内でよく知られている大関さんのように全国的に知名度が高い訳ではないため、会長になって何か発言しても「あの人誰?」と思われてしまうのではないかという不安がありました。更には、大学での勉強や研究が忙しくなる時期だったこともあり、しばらく学業に専念すべきかとも考えており、会長になることを即答できない理由はたくさんありました。

しかし、それ以上にメリットも多かったです。会長になることで多くの獣医学生、社会人と交流するきっかけを作ることが出来る。それ以外にも後輩にJAVSの楽しさを直接伝えることが出来るとも思い、熟孝を重ねた結果、会長に立候補することにしました。

 

3 会長になった感想は?

会長に就任してみての感想は「とても忙しいけどとても楽しい!」ということです。予想していた通り勉強、研究で取り扱うものの難易度が上がり、研究、勉強、JAVS全てが同時に忙しくなりました。なかには土日に動物のケアに行かなくてはいけないけど、JAVSのイベントがあって会長として参加しなければいけない時もあり、班員にケア日程を代わってもらうなどして支えてもらったことも大いにありました。

そういった周囲の人々の支えの上で参加したJAVSイベントでは多くの参加者とつながりを作ることが出来て、また、それが結果的にイベント参加者と他の参加者をつなげるきっかけにもなったので、どのイベントでも「参加してよかった!」との感想を持つことができました。

 

4 現在のJAVS幹部に期待することは?

新政権については今年はアイデアマンが多いと思っています。実際に12月現時点(インタビュー時点)でまだ数か月しかたっていませんが、もう既にここが変わったなと気づく事が何個か思い浮かびます。私が会長の時は定期的なJAVSイベントの管轄など最低限のことしか出来ていなかったと後悔しているので、今年の幹部の方々には積極的に今までにはなかったことに挑戦して、JAVSの新しい歴史を作っていってくれることを期待します!

 

5 JAVS会長退任後、今後のキャリアについてどのように考えていますか?

元々は小動物臨床をやろうと意気込んで入学しましたが、JAVSの活動を通じて様々な方とお会いし話を聞くうちに獣医師の職域の広さを感じ、小動物臨床だけではなく公務員獣医師にも強く関心を持つようになりました。

しかし、ある社会人獣医師から「獣医師免許は国家資格。日本全国どこでも働けるし、転職する際には強い武器となる。やりたいことがあるならまずはそれを思い切って挑戦してみなさい!」というお言葉をいただく機会がありました。

この言葉で決断できたので今はかねてから理想にしていた小動物臨床の道に進み、飼い主からの信頼を得られるような“町の獣医”を目指してみたいなと思っています。


今回インタビュー記事を読んで、初めてJAVSを知ることになった方も多くいるのではないでしょうか。

VetAnimallでは学生記者が実際の獣医療の現場を取材・インタビューしていく予定ですので今後をご期待ください。

記事作成者
山口大学共同獣医学部獣医学科3年
病態制御学研究室所属 渡邉啓律

 

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