小動物臨床で遭遇する疾患を扱った成書の中には、好発品種に着目して、説明が加えられているものがある。しかし、このような記述の一部は、好発する原因(遺伝性を想定しているが詳細不明など)が特定されていないため、「素因」という表現に留まっており、エビデンスや検査方法の有無に触れられていないケースが少なくない。つまり、自身の知識をアップデートしたい場合、学術専用の検索サイトでヒットする万単位の文献から、得たい情報に最も近いものを選ぶことになり、膨大な時間を取られてしまう。
そこで、イギリスの獣医師らは、上記の課題を克服するために、無数とも言えるエビデンスを体系化し、1冊の専門書を完成させた。なお、同書は、Breed Predispositions to Disease in Dogs and Catsというタイトルで、参考文献、商業化している検査法の有無、好発品種などを併せて、多岐に渡る遺伝病や素因(Predispositions)の詳細を載せている。
仮定の話ではあるが、今後、既にリリースされている電子版を基にして、最新の研究を取り入れて定期的な更新を続けるオンライン版が編集されれば、動物病院の診療レベルを格段に上げる起爆剤となるかも知れない。
参考ページ:
https://www.amazon.co.jp/dp/B005UNVGZU/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1
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